福知山成美

08年08月09日(土)

2回戦:大会8日目第1試合 対常葉菊川戦



<京都府予選の成績>

チーム打率.4432位/55校) 6試合167打数74安打52打点 
二塁打14 三塁打 4 本塁打 2(植田、門林) 三振12 
四死球30 犠打 16 盗 塁 4(高久2、生駒1、門林1) 失策6


▼2回戦

8:31~10:31(2:00)

常葉菊川

000 001 110 H3 E0

000 000 020=2

000 000 100=1


201 031 200 H9 E1

福知山成美

(常)戸狩、野島、戸狩‐栩木
(福)植田‐福本


▽二塁打:前田(常)

▽盗塁:戸狩、松本、伊藤(常)高久、門林(福)
▽失策:福本(福)


<実際のスターティングメンバー> 

★9安打1打点 残塁11 盗塁2(高久、門林)

1番 二塁手 生駒 右左 3年   4‐   四球1      三振1
2番 投 手 植田 左左 3年   5‐ 
3番 三塁手 深瀬 右右 2年   5‐                        併殺1
4番 中堅手 高久 右左 3年   4‐           三振2
5番 捕 手 福本 右右 2年   3‐0   四球1
6番 右翼手 椎葉 右右 3年   2‐0   四球1            犠打1
7番 左翼手 門林 右左 3年   4‐0             三振1
    投 手  近藤 右右 3年    0‐0 
8番 遊撃手 杉本 右右 2年   1‐0   四球1 死球1 三振1
    遊撃手 中谷 右右 3年     0‐0
    代 打 松村 右右 3年     1‐0               三振1
   ⇒遊撃手 
9番 一塁手 岡上 右右 2年   2‐1 
    代 打 末吉 右右 2年     1‐0
    一塁手 中原 左左 3年     0‐0
    代 打 古賀 右左 2年     1‐0 
    一塁手 田中 右左 3年     0‐0 



  植 田 回8 打30 安3 三振5 四死球4 失点2 自責点0 球数 123
  近 藤 回1 打 3 安0 三振1 四死球1 失点0 自責点0  球数  10  


<控え選手>

投 手 長 岡 右右 2年 
投 手 四 方 右右 3年 


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 予想スターティングメンバーも、予想スコアも外れてしまい、何と言ったらよいか。それでもせめて勝ちさえしていれば、それについて反省の意を表明することもできたのに、負けてしまっては・・・。後悔の念が残る。とにかく、先制点がもう少し早くほしかった。悔しいプレーで逆転を許してしまったが、冷静になれば、ああならなくても打たれて逆転を許していた可能性は大いにあった。一死三塁ならスクイズや犠牲フライ、内野ゴロの間に勝ち越されていたかもしれない。さすがに3巡目の常葉打線には打たれたかもしれない。なぜ負けたのかと言われると、やはり攻撃面で下位打線に当たりがなかったこと、戸狩に横から投げられてタイミングが狂ったこと、右の野島を攻め切れなかったこと、また戸狩が登板してきたこと、長打がなかったこと、積極な走塁ができなかったことなどが挙げられる。勝っていれば気づくことがなかったチームの弱点というものが、負けて浮き彫りになった気もする。打てるチームが陥りやすいチームになっていたということは、甲子園に来て常葉菊川と対戦するまでは気がつかなかった。まさにチームの弱点が露出した試合でもあった。打線は水ものとよく言うが、決してそのように湿っていたわけでもない。しかし、現に点が入らなかった。送りバントをしてもよかった場面もあった。スクイズをしてもよかった場面もあった。だが、まさか点が取れない展開になろうとは思いもしない。実際、テレビで観戦していて、点が入りそうで入らない展開を観ていても、今度こそどこかで大量点が入り、常葉菊川を圧倒すると信じて疑わなかったから。それが9回になってもまだよくわからなかった感じだ。画面を観ながら、勝ち方を想像していた。ここで1番の生駒が出塁して、2番の植田に長打が出て、3番深瀬、4番高久のどちらか、もしくは福本、椎葉のどちらかに2点タイムリーが出て、終わってみれば3対2で逆転サヨナラ勝ち。危うくも3回戦進出。と信じて疑わなかった。しかし、そのことがこのチームの最大の弱点であったのだと知ることになる。実際に1番から4番までが2安打ずつ。京都予選なら、このことで5番からの下位打線に甘いボールを相手が投げてしまって、大量得点となっていたところも、決して打たれなかった常葉の投手陣は、さすがの投手力であった。杉本への死球も普通なら2‐1のカウントからあんなに厳しく(コントロールはなかったが)内に攻めてくることも今までになかったかもしれない。当然避けられなくても仕方がない。杉本の死球退場でチームは動揺。やはり正遊撃手を失ったことはチームにとって痛かったとしか言いようがない。

 福知山成美は、今春の近畿大会を制して、近畿ナンバーワンとなった。しかし、僕の中ではこの夏の選手権でその力を発揮できるとは思っていなかった。春に結果を出したチームが、夏に優勝することは近年になかったこと。それを信じて疑っていなかった。また、近藤と植田の両投手を抱えていることで、どちらかの調子が上がらないことで、敗退するような気もしていた。実際に近藤がアクシデントで投げられないとなったところで、厳しい気がしないでもなかったのだが、長岡という2年生投手が急成長。これで余裕ができたかなと思う。それで準決勝の京都外大西戦である。なんだかんだいっても、6年連続のベスト4に進んだ京都外大西。準々決勝の京都国際戦での5併殺。投手は5人。6年で4回目の甲子園が見えてきたことで、戦前は京都外大西有利と見ていたのであるが、始まってみれば初回に7得点を挙げるという猛攻。終わってみれば10点差をつけて5回コールドの圧勝だった。この打撃力を見て、福知山成美の優勝をほぼ確信したのである。低めの球に強いこと、選球眼の良さ。右打者にも当たりが出ていた。決勝の立宇治戦はやはり、中野翔が疲れ果てていたので、同じように得点して、難なく京都大会優勝を果たした。5年前から高校野球を観ているが、こんなに爽快感を感じたチームは初めてだった。3年前に京都外大西の本田投手が平安打線に対しているときに、各打者が振り遅れているのを観て、全国でも通用すると感じたときに近い。ただ、確信は持てなかった。打線が湿っていた。確かチーム打率はワースト2位ぐらいだった。それでも結局、甲子園の2回戦で関西に6点差を逆転勝ちすることにより、チームに勢いが出て決勝まで進んだ。その苫小牧戦でもボテボテのタイムリーを打たれ、最後は田中に抑えられてしまったが、大会前にぼんやりと浮かべていた優勝の二文字は、最後は信じられなかったが準優勝というところまできた。3年経って今回、福知山成美には優勝の二文字がはっきりと浮かんでいた。投手は3人(左1人)。いずれも通用するだろうという気がした。打線は超がつくほど素晴らしい。55校中2位のチーム打率。右も左も恐くない気もしていた。しかし、初戦で左腕・戸狩が打てなかった。四球で自滅するタイプだと思いきや、思うようなところで四球を出してくれなかったし、時折ややサイドから投げたりして打ち気を逸らされてしまった。右投手の救援は予想外だった。何が何でも戸狩が完投すると思っていた。最も自信のあった打線がつながらなかった。3連打が出なかった。これが甲子園。これが全国大会であった。この5年間初戦敗退は一度もなかったのに、まさかこのチームが、という感想だ。2年前の愛工大名電戦でも、戦前は全国的に成美が勝つとは思われていなかったであろう。それが功を奏していたのか、勝たしてもらった。今回は勝ってもおかしくない戦いだっただけに、甲子園の魔物の餌食になってしまったとしか言いようがない。しかし、全国の人はこのチームのことを決して忘れないだろう。常葉菊川にあんなプレーをさせたということはそれだけ切羽詰っていたということだから。しかし、言わせてもらうなら、あれが菊川の監督の言う「ひまわりのようなプレー」(戦前のコメント)なのか「野球の素晴らしさ」(戦後のコメント)なのか、僕にはわからない。あまりの悔しさで呆然とした。あんな形での初戦敗退はあまりに残念でならない。このチームは全国でその力を如何なく発揮してもらいたいと思える、その必要のある、ここ数年で最も強さを感じさせられたチームだったからだ。生駒、植田、高久の左打者3人が同一チームというチームも再び作るのはなかなか難しい。だが、負けてはこうも言い切れないのがとても悲しいし、とてもつらい。成美をはじめ、強豪と信じている京都のレベルはまだまだと言わざるをえなくなってしまう。本当に残念な90回記念大会の夏だった。来夏、この借りを返してほしいところだ。