『唯我独尊』 ~京都ファイアーバーズ・山上直輝投手 vol.5

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―高校や大学、社会人の練習はどんな感じでしたか?

高校の時は与えられた練習をやっている感じでしたが、大学では自分で考える練習と与えられる練習の割合が6:4か7:3かになりました。社会人やクラブチームでは、それはもう8:2か9:1になります。練習時間は今が一番短いです。練習の日数も時間も増やしてほしいと思いますが、今が一番充実していますね。


―社会人野球のレベルについてはどうですか?

大学野球よりも今の方が全てのチームにおいてレベルが高いですね。大学の頃はベストボールさえ投げればそのボールは誰にも打たれませんでした。でも、社会人では打たれます。つまり、大学の頃は、勝負の前に僕がダメな時に打たれたような気がするのですが、社会人では、その時よりも成長している状態なのに調子が良くても9人の中の誰かに打たれることがあります。個人対個人でも、チームとして戦っている場合でも勝てなかったりします。ベストピッチを打たれる時も社会人ならありえます。いい球がいっても打たれるということです。


―社会人でのベストピッチングは?

まだできていないですね。何でしょうか、それを追い求めています。まだ天井が見えません。まだ完全燃焼できていないからかもしれません。投球で言うと、一球指先にかかっても後でもっと指先にかかる時があります。ピッチング的にもすごく良くても、もっといい時があるのです。これかな?と。これがベストかもしれないと思っていても、現時点で最高と思っていても、指先にバッチリかかったら、さっきよりもいいと思ったり、このピッチングの出来が最高というのが、まだわからないのですよね。


―いまいち僕には言っている意味が難しいのですが、つまり、ベストピッチングがないというのは…常に記憶が上書き保存されていっているということですか?

…何というか、発展途上中なのです。毎回投げる度に新鮮なのです。今までで一番いいボールよりも、いいのです。過去に思い描いたボールよりも、それがあったとしても、またしばらくしたら、そのうちですかね?比較的すぐにいい球がいくようになるのです。出発点が低いのもありますが、行き詰まらないし、限界を感じていないし、自分が楽しみなのですよ。


―感覚的にですが、1<2<3<4…という感じなのでしょうか?

そんな感じです。常に4位くらいに自分がいるような…。野球ができる喜びを感じています。今年よりも来年がいいと、そういうものだと思っています。今はこの力でももう1年やればもっとうまくなる自信がありますね。ファイアーバーズに来た当初は、結果が出ませんでした。みんなが使えないと思ったはずです。でも、今はダメな時でも、この力でもうまくなると思うのです。だから、今が精一杯の力だとは思っていないのですよね。精神的に若いというか、ただ高望みしていないだけなのかもしれませんが。


―不思議な捉え方ですね?監督には何と言われますか?

バッターが三振しても、思い通りの球でなかったら、何?おかしい!と思いますね。監督には「土肥(大阪ゴールドビリケーンズ)はファイアーバーズや関西独立リーグから、あわよくば直接プロへと考えているが、山の場合はファイアーバーズで試合にリリーフで出て…、それからロングリリーフをして…、それでエースになって…と次のレベルへ段階を経てこうなりたいと、長い期間をかけて成長していくタイプやなあ」と言われました。


―ご自身の性格についてはどうですか?あと、嫌いな食べ物はありますか?

気が長いです。めったに怒りませんし、のらりくらり、さっきも言ったように2番手タイプですかね(笑)。でも、野球に関してはあまり言うことを聞かないですかね。大学の時もフォームのことで言われましたが、納得できるところはやろうとしたけど、いつの間にか元に戻りましたから。嫌いな食べ物はないですね。


―何か最近印象に残っている試合はありますか?ターニングポイントとか?

…そうですね。監督の後で投げるのがつらかったですね。緊張もしました。監督でさえ、こんな上のレベルの人でも打たれているのに、と。打たれたことで覚えているのは、去年の日本新薬戦で監督が5点も取られてしまって、その後に投げたのですが、僕も5点取られました。悔しいし、技術的に難しいと自分を思いかけた瞬間でした。もしかしたら、これはヤバイと。それから抑えたことで覚えているのは、去年の三菱戦で監督が4点取られて、僕がリリーフしたのですが、3イニング無失点に抑えて逆転勝ちしたことがありました。


―どっちが先ですか?他に印象的だった試合は?

日本新薬戦が先で、三菱が後です。公式戦です。あとは去年の秋季大会の1回戦でリッツと対戦した時です。先発が監督で、2イニングリリーフしました。勝ちました。それと2回戦のOBC戦ですね。その日は関西独立リーグのトライアウトとかぶってエースだった土肥君もいなかったので、初めて大事な試合で先発することになりました。8回4失点でしたが、自己最長のイニングを投げられたことは大きかったです。結果的には負けましたけど。

2008年6月8日 対日本新薬(公式戦)●0-11 竹内、山上-八木(5回コールド)
2008年9月23日 対京都ダイヤフェニックス(公式戦)○5-4 竹内、山上-岩村
2008年11月2日 対Ritsベースボールクラブ(公式戦)○5x-4 竹内、山上、河田、土肥-岩村
2008年11月3日 対OBC高島(公式戦)●0-6 山上、岩村-八木

 
―竹内監督はリッツ戦以降に投げましたか?

それ以降は投げていませんね。


―今年の都市対抗府予選の三菱戦では、下位打線に打たれてしまいましたね。

それが悩み事なのですが、いつもクリーンアップにはほぼ打たれなくて、首を傾げてベンチに帰っていくのですが、1、2番や8、9番に打たれるのです。こちょこちょやられるというか。うまく打ちたいタイプにかわそうとするとやられるみたいです(苦笑)。


―今の目標は何ですか?

日本選手権の府予選では、エースとして2勝しないといけません。去年エースだった土肥君には負けないです。いなくなって成長したと思いますが、それで弱くなったとは言われたくないので。


―監督も「頼りにしている」と言っておられますね。

「環境がそうさせたのか、先輩がいなくなって独り立ちした。やらないといけない状況になったからや!」と監督がそのようなことを冗談っぽく言います。もう何の練習をしていても言われませんし、監督から教わったピッチングのコツをほぼ実践しています。


―他に、将来的な目標はありますか?

社会人野球で都市対抗や日本選手権に出場したいですし、土肥君(大阪ゴールドビリケーンズ)が大阪に行って活躍しているのを見ると急にうらやましくなりました。野球をしてお金をもらえる環境に行きたくないと言えばウソになりますね。


―関西独立リーグについて思うことは?

関西は1年目の割にはほとんど取り上げられていないように感じます。北信越は、富山サンダーバーズが優勝争いをしている時は、富山新聞にカラーで一面で大きく取り上げられます。それに加えてスポーツ欄にも取り上げられて、選手はヒーロー的扱いを受けるのでやりがいを感じられるでしょう。


―元ファイアーバーズの選手もそれらのリーグでたくさん参加していますね。

「試合数をこなしているので個人的な成長はしているけれども、ファイアーバーズの方が楽しかった」と聞きます。アマチュアは1勝したり1敗したりの感情や選手らのチームワークも違うという意味かなと。


―(引退後の)将来的な夢はありますか?

昔から漠然と考えていたのは、高校野球の監督という職業に就いてみたいですね。野球を教える立場になりたいです。だから、教員をしたいなあと思います。でも先生というよりはやはり指導者がしてみたいですね。それで、以前教職の資格が取れる学校のパンフレットを取り寄せたりもして、どれくらい費用がかかるのかを調べたりしたのですが、入学を決断できるかどうかですよね。勉強している先輩を見て、僕もチャンスがあるかもと思っています。最近母校の試合を観たら、昔とは違うところがあるなあと時の流れを感じました(笑)。


―今までに何か賞などを受賞されたことはありますか?

大学時代に大学2チームと社会人2チームで交流戦をするのですが、2試合投げて、社会人の伏木海陸運送戦で8回まで0点に抑えて優秀選手賞をもらったことがあります。


―長いインタビューありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。僕で良かったですか?


―はい、もちろんです。色んな話が聞けて楽しかったです。期待しています。



おわり


※『唯我独尊』とは、「自分一人が特別にすぐれているとうぬぼれること。ひとりよがり」という意味ではなく、「この世の一人ひとりが主人公。」といった意味で捉えています。

※インタビューは9月上旬に行いました。日本選手権府予選は残念でした。10月31日に府秋季大会が開幕。ファイアーバーズは、11月1日にニチダイグラウンドで三菱自動車京都ダイヤフェニックスと対戦します。



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(参考HP)

Take it easy!! 京都ファイアーバーズ #18 竹内和也 応援サイト

KYOTO FIRE BIRDS 京都ファイアーバーズBCの日記&連絡ボード2009