京都アマチュア野球だより

試合結果、選手成績などを写真付きで紹介しています (SINCE 7.06) 著:若林千尋

2009年10月

エコロベースって知ってる?

 5月にエコロベース大会があって、それには競技者として参加した。エコロベースというのは、「超軟式野球」というらしいが、要は「野球」を超軟弱化させたものである。老若男女問わずプレーできる。ボールは軟らかいし、バットも軽く、グローブはラクロスのラケットのようなものを使う。

 やってみて思ったのは、よくできているということだった。点差がつきにくいと思う。10人でプレーする形式をとっていたのだが、1人は二遊間のところの守備に就く。打順がそのまま守備位置になり、イニング毎にローテーションで守備位置が回る。僕は背番号が「5」で打順は5番で、守備は三塁手から始まり、次は遊撃手、次は左翼手とずれていった。もし、誰か特別にうまい人がいてもずっとその守備位置に就くことはできない。野球やソフトボールは、投手や捕手を中心に、二遊間と中堅手をセンターラインとして守りを重視するスポーツだ。そこの能力が高ければ、不用意な失点はある程度防げるものである。だから、守備がローテーションで回ってしまっては、なにかと不便なのだ。それが面白く感じた。ある意味で革命を起こしている。

 野球やソフトボールをやったものであればわかると思うが、守備位置によってグローブの形が違う。一塁手や外野は長く、内野は短い。投手が最もオールラウンドなもので、捕手は捕手しかできない太さである。しかし、エコロの場合は、全守備で同じラクロスのミット?のようなものを使う。だから、グラブさばきがいらない。ミットは10個でいいのでイニングが終わると、守備位置にミットを置いて、ベンチに帰る。手ぶらで帰るその姿がなんかかわいい。

 投手は下投げでホームベースの後ろの地面にある四角の的を狙ってワンバウンドさせなければならない。よって、速球を投げることができない。ワンバウンドさせるにはゆっくりとした放物線を描くしかない。だから、必然的に打撃戦になるから、バッティングがすこぶる面白い。僕なんかは3打数2安打2本塁打(1三塁ゴロ)だった。左翼手のすぐ後ろに線が引いてあるのだ。それを越えればホームラン。誰でも打てそうな距離(男子45m、女子35m)のため、野球経験を特に問わない。ダイヤモンドをゆっくりと回る経験を2回もさせてもらった。ベンチに帰ってくればハイタッチの応酬。ヒーローになってなんだか照れた。これだから、非力な女性でも当たればホームランが打てる可能性もある。女子の部は外野がやや前だった。女性でホームランを打ってしまうとこの喜びはもっと大きいだろう。夕食にもう一品出してしまいたくなるほど嬉しいと思われる。

 このように純粋な楽しさがあって、守備に責任が少ないのがいい。よく草野球なんかでは後々、自分がやってしまったエラーが敗因となってしまい、全責任を負わされた気持ちになることがある。守備位置がローテーションであれば、三塁手や遊撃手をずっと守っていなければならないということで背負う不安は少なくなる。僕がたまにソフトボールに参加すると、野球経験があるということで三塁をやらされることが多かった。が、打球が速過ぎて目茶苦茶恐い。「もっと前」と言われることがあって、顔面に当たったらとびびって守ったこともある。しかし、エコロのボールはまるでクッションのような軟らかさで、子供に思い切り投げてぶつけてもケガ一つしないくらいだ。痛くないということが楽しさを増す。「こんなに軟らかいの?」と感心するくらいだ。(ボールはウレタン製)

 スライディングや盗塁、バントも禁止。ファーストストライク見逃しはツーストライクに。スリーストライク目のファウルは打者アウトになる。1イニングで5点入ればチェンジになるので、ビッグイニングはない。だから、守備時間が長すぎるということもない。ゲーム自体を40分から50分に設定してあるので、早く終わる。それなのに3打席も回ってきた。本当に打撃の力による打撃戦のまま決着がつくという結果がなぜかすがすがしいし、守備の責任はほとんど皆無で、打てないから負けたという責任の所在のはっきりしたところがなんとも痛快だった。

 しかし、野球やソフトボール経験者は物足りない感が残る。こんなのでいいのかと、疑いたくなる気持ちが出てきても仕方がない競技とも言える。技術の見せ所も特別ない。全打席ホームランで当たり前なのだ。だが、やっぱり僕は楽しかった。誰がうまいとか下手とかが問われない野球が妙に新鮮だった。これは本当に革命的だった。自分がいかに野球を「間違い探し」という点で見ているかということにも気づかされたように思う。野球に正解を求めているのである。正解を押し付けているのである。それが野球の難しさといったところだろうか。なんかよくわからない説明になって申し訳ない。自信をなくしているプレーヤーはエコロベースもどきな野球をやってみればわかる。平安や成美や外大西や立宇治や…のような競争の厳しそうなチームは一度、このように守備位置をローテーションで回すような野球をやってみれば、純粋な野球の楽しさがわかると思う。全員が投手や捕手を経験してみれば、見えてくることもあるかもしれないと勝手に想像したりする。新しい感覚が発見されるかもしれない。

 ところで、女子の部のときに、頼まれてもいないのに写真を撮ってあげた。打席でバットを構えている写真やスイングしている写真など所有していないと勝手に思ったから。それを出場選手に配ったらそれなりに喜んでもらえた。それはそれは不思議がられたが、女子の部は3位になったので、その栄誉を簡単にまとめたものを写真付きで回覧板で回してもらった。去年と来年の体育委員には悪いが。また、エコロベースは京都が発祥の地だった。いつか機会があれば、このようなスポーツが生まれたいきさつを取材してみたいものだ。きっと野球の楽しさと苦しさのどちらも知っている人たちの手で考案されたにちがいない。



NPO法人日本エコロベース協会

体育役員に選ばれて

 この秋に試合を観に行けなかった理由の一つとして、地域自治会の体育役員に選ばれたことが挙げられる。班の世帯数から10数年に一度回ってくる役員なのだが、今年がそれに当たった。

 役員には会長や副会長、会計や書記、防災に情宣、体育があり、それぞれ請け負う担当が決まっている。それで3月に体育役員になってしまった。

 体育役員だけは2人。春から冬まで1か月ないし2か月に一度のペースで日曜日に体育行事が開かれる。これまでにあったのはエコロベース(超軟式野球)やソフトバレー、ゲートボール、区民運動会。この先はグラウンドゴルフやラージボール(卓球)が予定されている。もちろん一番の行事は区民運動会だ。

 何が大変かと言えば、出場メンバーを集めることに尽きる。なかなか出場してくれる人が集まらない。日頃からそれらに参加したことがあり、近所の人たちと親しくしていればまた違うのかもしれないが、そうではない。だから、どこに何歳ぐらいの人が暮らしているのかさえわからなかった。

 回覧板を回しても反応はめっぽう薄い。こんなに娯楽の多い時代にみんなが感心を寄せる行事とは言いにくく、高齢化している世帯が多い上に、地域と関わりを持ちたがらない人たちの方が多い。結果的には人は集まったが、出場してくれる人はたいてい小学生の子供がいるお母さんだったり、毎年のように出場してくれるちょっと親切なおじさんばかりで恐縮した。

 体育委員を引き受けたときも、色んな人に心配された。他の担当であれば、もう少し楽ができたかもしれないと今なら考えられるが、一番若かった僕が「体育はできません」なんて跳ね返していたら、他の年配の方に申し訳ない思いもした。書記よりも体育の方が性に合っている。いざとなれば自分が出場すればいいと思った。なるほど、仕事で忙しくしている人であればつらいかもしれない。結婚していれば奥さんと分担したりすることもできたであろうが、何せ単身なものでそれもできない。うちの場合は両親に頼ることができないので、その選択はなかった。僕が頑張るしかなかった。まあ頑張れたのでよかった。

 体育委員が2人なのも的を得ている。競技当日以外でも抽選会や説明で毎月一度は集まりがある。そのうえ自治会の集まりもある。例えば、地蔵盆をどうするかとかで会議を開いたりもするから、まるで二重に会議に出席しなければいけないような感じがするからだ。そして、何よりも自治会として人数が集まらなくて棄権という事態は避けなければいけない。2人がかりでないと1人では荷が重過ぎる。思い切り頭を下げる気持ちでぶつかっていくしか方法もない。弁当も無料だとアピールする。「すんませんねえ」は軽く100回は言っただろう。

 年間のメインイベントである区民運動会は球入れやら綱引きなどと、とにかく人数が必要な団体競技が多い。若いお父さんにも出てもらわなければならない。最後のリレーに至っては男女6名ずつ計12人も集めなければいけなかった。毎年出場してくれる人たちは大体決まっているようだったが、選手集めの要領がわからない。回覧板には名前を書いてもらえないことが多いので、結果的に、思いつくだけの、出てくれそうな人の家を訪問して頼み込むことになる。幸い無事に運動会を終えることができたが、終わったかと思えば、次はグラウンドゴルフの人数集めに動き出さなければならない。

 だから、この秋の野球観戦はちょっと難しかった。もちろん、全く行けなかったかと言えばそうではないし、9月ならば行ける日もあった。しかし、もし行ってしまったら、どうなっただろうか。次も行きたくなるのに決まっている。どこが勝ったか負けたかで、スケジュールも変わるかもしれない。それがあまりに自分にとって負担になりそうだったので、それならばこの秋は観戦を辞退、もしくは自粛するしかなかった。もしどこかで行けば、次も行きたくなるという煩わしさを抑えるしかなかった。そして、またこれを読んでいる人たちに要らぬ期待を持たせるのもどうなのか、とも考えた。自分でもつらい気持ちがあったが、あきらめるしかないなと、地域の人と一緒に芋を掘りながら空を見上げた日もあった。

 実際には6月に、体育委員で休んではいけないにもかかわらず、「仕事」ということで、ソフトバレーをボイコット、というか都市対抗の近畿予選、甲賀の大事な試合と重なってしまい、運良く都合良く西京極へ行ってしまった。やってしまったが、この試合を観に行かないわけにはいかなかった。そういう状況だった。試合が終わり、家に帰ってきてスーパーに買い物に行こうと自転車に乗っていたら、ちょうど他の役員二人に道で会ってしまった。「優勝して祝勝会してるからおいで!!」。勝利を喜び合いながら飲む、あのビールのなんとも言えない味とその場の居ずらさはなかった。

 ということで、大変申し訳ない感じもするが、この秋は野球はすべて辞退、せっかくの運動会も下から3位だった。どちらも残念だった。
 

立命館宇治、センバツ当確へ!

 みなさま、お久しぶりです。なんとか生きています。

 それよりも立命館宇治高が秋季近畿大会ベスト4へ進出し、来春のセンバツ甲子園大会への出場がほぼ決まりました。選手らや卯瀧監督、石川部長、保護者&関係者のみなさん、おめでとうございます。


 この夏に龍谷大平安、秋に立命館宇治が府大会で優勝。なんと6年前に僕が高校野球を観るようになったときと全く同じでとても驚きました。そのときの立宇治はセンバツの開幕試合で準優勝した愛工大名電に1点差で競り負け。次のセンバツではぜひ同じ愛知の中京大中京を夏の平安の分も加えて倒してください。…と対戦することを予言しておきましょう。

 その立宇治の監督である卯瀧監督ですが、この夏の4回戦で京都成章に負けたときは、とても悔しそうでした。声を掛けることしか頭にない僕は、それでも卯瀧監督に挨拶だけでもと思い、粘りに粘ってバスの前で名刺を渡しました。試合の内容の悪さ(タイムリーヒットなしで3失点)に監督の表情は曇ったまま。20年ほど前に北嵯峨が甲子園初出場を決めた決勝の試合を太陽が丘に観に行ったことを告げてもあまり効果もなく、後から監督に挨拶に来たスーツ姿の人たち3人に「ブサイクな試合で」と言われたときに、ようやく事の大きさに気づかされ…。肝を冷しました。試合が終わって30分も経たない内にバスは出発。これから学校に帰ってすぐに練習するんだろうな、とすぐわかりました。(それからスタンドに帰って京教のマネージャー4人を探したというところにつながります。)

 そんな立宇治がこの秋に優勝。夏は下級生主体のチームでもあったことからこの結果に驚くことはありませんが、近畿大会でベスト4というのは、やはり卯瀧監督の指導の賜物というしかないでしょう。この秋は一度も球場に行きませんでしたので、何を語れるわけでもありませんが、すごいです。


 ところで、この秋は球場には行っていませんが、インタビューを2つしました。原稿は完成しているのですが、まだ掲載許可が下りていません。下り次第掲載致しますので、もうしばらくお待ちください。その二人は共に左投手です。僕がこれまでおそらく最も観てきたピッチャーと全く観たことがなかったピッチャーの二人です。どちらも甲子園に行きました。

 それから、ある高校球児を今、追いかけています。その選手はちょっと複雑な事情を抱えています。取材した内容をまとめて作品にして賞に応募してやろうと企んでいます。こんな人が僕の目の前に現れるとは思ってもいませんでした。なので、作品にしたいという気持ちが出てきたわけです。この件についてはまだどうなるか自分でもわかりませんが、ここに載せられるとしたら来年の7月以降になるだろうと思います。

 この秋はほとんど試合も観なければ、写真撮影も全くしていないので、ここに載せられる新しい情報は何もありません。その代わりと言ってはなんですが、この夏の京都大会で観た試合が途中で止まっていますので、その内容を更新したいと思っています。ものすごくスローなペースになるでしょうが、取材して「載せる」と言っておきながらそのままになってしまっているし、あれからもう3か月も経っているので、今なら本音で書いてもいいかなと思います。あの選手があのときこんなことを言っていたということをみなさんにお伝えしたいと考えています。

 
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