京都アマチュア野球だより

試合結果、選手成績などを写真付きで紹介しています (SINCE 7.06) 著:若林千尋

第90回(08)全国選手権

龍谷大平安、1回戦は中京大中京と

 龍谷大平安は大会3日目の第2試合で中京大中京(愛知)と対戦が決定。最近京都代表が愛知代表と夏に戦ったのは、 続きを読む

第90回全国高校野球記念大会:大阪桐蔭は17年ぶり優勝、常葉菊川は準優勝おめでとう!!

■大阪桐蔭が17年ぶり2度目の優勝    福島由、松坂以来10年ぶりの決勝完封
  常葉菊川、投手陣力尽きる   強力打線が散発5安打 


~決勝を振り返る~

 全6試合連続の2桁安打、歴代2位の大会99安打、決勝史上最多タイの17得点。個人記録は割愛させていただくが、まあ、何とよく打ったチームだろうか。一方で犠打や四球も多かったみたいだ。つなぐ野球、全員野球。大阪桐蔭の優勝は予想だにしなかった。「大阪は打つけど、投手力がイマイチ」が毎年のように繰り返されていたように思うからだ。「野球が荒っぽい、守備がまずい」がしかし、それは今年に限っては誤りだった。正直ここまでとは、終わってみて、初めて信用できた、強すぎる大阪桐蔭だった。中でも福島由のピッチングは素晴らしかった。一番信用していなかった投手力だったわけだが、最後の2試合はどうだろう。相手は横浜と常葉菊川。なんと決勝では完封。甲子園で完封できる投手には思えなかったが、(というよりも大阪の投手力そのものを信用していない)大した投球を見せてくれた。打線はもう何も言うことがない。打順に関係なくどこからでもチャンスを作り、本塁に還していた。大阪桐蔭が優勝するのは当たり前だと準決勝、決勝を見て思った。なんという失態!大阪代表に対するコンプレックスだろうか。どんなにうまくいっていても、絶対どこかでミスするのが大阪という決め付けが心にいつもあるのだろう。優勝候補に挙げられた時ほど、確実にどこかで気が緩むのか敗退し続けてきた印象だった。本当に失礼極まりないのでここで謝罪させていただきたい。NHKで深夜に決勝が再放送された。こんなことが17年前にもあったのか覚えていない。高二の夏だった。あのときも打線が凄かった。投手も二人いた。プロ野球に進んだ選手も何人かいた。その超大型のチームでも成し遂げられなかった過去90年の記録を次々と破ったという点でも、特筆に価するチームだったと思う。考えてみれば、去年、中田という超ビッグな選手に埋もれて目立たなかった選手たちが、この夏ついに借りを返したという図式だった。その辺を見逃してはいけない。

 常葉菊川はついに打線がつながらなかった。最低でも5点~7点は取るだろうと考えていたが、右投手を打ち崩せなかったのは残念だった。左投手はボコボコにしてきたのが、準決勝の3回以降を浦添商・伊波に7回を抑えられてから、決勝の大阪桐蔭・福島由の9回と計16イニング連続無得点と、案外、右投手に弱かったようだ。まあ、どちらも好投手なので仕方ないのだが。とにかく期待しすぎていたきらいはある。でも、6回に大阪桐蔭に6点取られるまでは、何だか逆転するような気がしたのだから凄い。戸狩が初回に満塁本塁打を打たれても、これで面白くなったぐらいに思っていたのだから。それにしても、戸狩はもう限界を超えていて、見ていてつらかった。最終回に再びマウンドに上がって、1球だけ本気で真上から投げたのだが、もう再びひじは上がらなかった。129キロだったらしい。さすがに大阪桐蔭には抵抗するには無理があった。それでもよく決勝まで来れたものだ。打線の援護なくしてはそれも実現不可能だっただけに、投手としての本来の実力が出せなかったというのに、非常に運の強い投手だと思う。福知山成美戦での三盗は忘れられない。投手でありながら、こういうプレーをしてくる選手は本当に嫌だ。二度と対戦したくないと思わせるプレーヤーの一人だ。大体2番伊藤のあのフルスイングは何なのだろう。あれだけ振られると3度目の対戦の時は、もうやられるかもしれないと投手は思ってしまう。攻撃は最大の防御なり。そういう印象を強く残した常葉菊川であった。福知山成美の植田君は、この打線をよく抑えたなあと今さらながらに思う。初戦でよかった、のかなあ。智弁和歌山の岡田君や倉敷商の木本君が打たれたのは観ていてショックだったのが思い出深い。最後の決勝では打てなかったが、3試合連続の超ビッグイニング打線は痛烈な印象を残した。また、成美の話になるが、成美が決勝に残れたかというとそうではないだろう。あそこまで調子に乗れない、が似通ったチームだったとは思う。あのポーズは何だろう。立宇治のあの選手もやっていたあのポーズ。これも非常に印象深かった。4季連続出場。昨春優勝、昨夏4強。監督は変わっても(部長が監督になっただけだが)、経験している者たちの集団だった。やはりどうしても成美が負けた時のことを思い出す。好走塁と評されるのだろうが、その試合巧者ぶりに腹立たしい思いもするチームであった。が、常葉菊川の試合はやはり気になった。頼むから勝ち上がってくれという思いであった。日程が進むにつれ、応援するようになり、その気持ちももう不思議と治まっていった。さすが常葉菊川と喜んだ日もある。しかし、やっぱりあのプレーに関してだけは忘れられない。ここまで勝ち進み、この準優勝は意味深い。よくやってくれたと素直に感謝したい一方で、色んな意味で忘れられないチームとなった。常葉菊川にどこかでリベンジしたい。あわよくば来夏に・・・。




★大阪桐蔭

 決  勝:17‐0 常葉菊川    安21二4三1振3四7犠3併1残10失0
  投:福島由 本塁打:奥村③、萩原③
 
 準 決勝:9‐4 横 浜    安14二2三2振2四1犠3併2残5失2
  投:福島由 本塁打:萩原②

 準々決勝:7‐4 報徳学園 ⇒3点差 安16二3三0振3四4犠1併1残10失0
  投:福島由→奥村→福島由 本塁打:奥村②、萩原

 3回戦:7‐5 東 邦 ⇒2点差 安14二3三0振4四3犠2併0残10失1
  投:福島由→奥村→福島由

 2回戦:6‐5 金 沢(延長10回) ⇒1点差 安16二3三1振3四4犠3併0残14失0
  投:福島由→奥村→福島由 本塁打:浅村2

 1回戦:16‐2 日田林工    安19二5三3振4四7犠4併0残10失1
  投:福島由→奥村→永島→奥村 本塁打:奥村



★常葉菊川

 決  勝:0‐17 大阪桐蔭    安5二2三0振9四2犠0併0残7失2
  投:戸狩→野島→萩原→浅川→戸狩

 準 決勝:9‐4 浦添商   安10二2三0振8四5犠1併0残5失1
  投:戸狩→野島→戸狩 本塁打:前田②
 
 準々決勝:13‐10 智弁和歌山 ⇒3点差 安15二2三0振8四5犠1併1残6失1
  投:野島→戸狩→萩原→浅川→戸狩 本塁打:前田

 3回戦:11‐9 倉敷商 ⇒2点差 安13二2三0振5四0犠2併0残3失5
  投:萩原→野島 本塁打:町田、伊藤

 2回戦:2‐1 福知山成美 ⇒1点差 安3二1三0振6四5犠1併0残4失0
  投:戸狩→野島→戸狩

第90回全国高校野球記念大会:決勝の見どころ

<決 勝>

13:00 常葉菊川(静岡) ‐ 大阪桐蔭(北大阪)

 

~準決勝を振り返りつつ、決勝を占なう~

 第一試合。常葉菊川のビッグイニングはこれで3試合連続。全試合逆転勝利で、夏は初の決勝進出を果たした。持ち前のフルスイング打線は健在。畳み掛ける攻撃力は甲子園で凄まじい威力を発揮している。先発を読み違えた。常葉菊川の戸狩先発はないと思っていたが、戸狩が先発。逆にとにかく伊波だと思っていた浦添商の先発が伊波ではなかったことに驚いた。伊波にこだわり伊波で散る戦い方よりも、終盤に伊波の方が、準々決勝の戦いぶりからしていいように思っていたので、これで試合は浦添商有利に展開するような気がしたのだが、あまりに早い回に先発投手が崩れ、準備不足なのか伊波が二死までこぎつけながら、その後に打ち込まれてしまい、予想外の展開となる。たとえば、2番伊藤に対し初球。フラフラとセンターに上がったフライに見えた打球が、なんとセンターの頭を越して走者一掃の3点二塁打。さらには遊失、四球後、5番前田にこれまた何と言っていいか、内角高めの速球を完璧にレフトスタンドに放り込まれ、走者一掃の満塁、4点本塁打を・・・。これで2回の一挙9点が入って、試合が決まった。浦添商はその後追い上げを見せて3点を返したが、やはり失点の多さが負担となった。どこかの満塁の場面で左翼線ギリギリの打球がファウルになったり、特に常葉の守備でチャンスを逸する場面が多かった。6回一死満塁、伊波が放った、抜けたと思った打球をセカンド町田がダイビングキャッチで併殺。ここで追い上げられなかったのが大きかったか。戸狩は相変わらず、球速が出ないのだが、1回戦の時とは何だか別人のような雰囲気を醸し出して、楽しそうに投げている印象だ。その遅球で大阪桐蔭を抑えてみてほしいと思う。抑えられないこともないような印象を受ける。これまで幾度も戸狩を助けてきた野島は決勝もどこかで登板機会があるだろうが、できれば戸狩→野島→戸狩→野島→戸狩みたいな継投をするために、野島は外野に入ったりできないのだろうかと思っている。浦添商は沖縄尚学と併せ、県勢で春夏連覇を目指したが叶わず。浦商サンバのリズムに乗って、次々と実力校を撃破してきた。よくわからないところもあるが、盗塁という記録に残るものではない走塁面や捕手の山城の強肩ぶりが注目された様子。2番上地の総犠打数は9となり、歴代1位に。伊波を中心としたまとまりのあるチームで随所にその力を見せた。


 第二試合。横浜がどうこうというよりも大阪桐蔭が投打に圧倒。言うことがないくらいの完璧な試合運びだった。バテ気味と思われたエース福島由は、中一日で回復したのか、準決勝という大舞台で横浜が相手ということでアドレナリンが噴出したか、これまででも最高のピッチングを披露した。左打者7人の横浜打線に通用するとは正直思っていなかったのだが、大量点に守られることもあってか持ち前の制球力が安定。自慢のスライダーも小さく鋭く、左打者の懐、もしくはボールになる低めに決まり、効果を発揮した。さらに、最終回には140キロ中盤の直球も記録するほど気合も入っていた。文句のつけようがない投球だった。それでも途中、ライトの奥村が救援準備に入っていたが、西谷監督は福島由の完投を決めたところが、この試合のポイントだったように思われる。もし奥村がどこかで登板するような機会を設けたとしたら、横浜はそこをつけこみ、流れがどうなったかわからないような気がする。それにしても得点場面が美しすぎた。挙げるならば、3回二死から四球後の4連打で3点を取り逆転。さらには捕邪飛後、5‐1となる6番中谷のライト前2点タイムリー。そして、7回一死三塁での2ストライクからの3番森川スクイズ、さらに4番萩原の2ランと容赦がない。横浜の先発土屋は、これまで封印していた?チェンジアップを時折交えて、ピッチングに幅を持たせようとしていたが、何せ昨日からの2連投。準々決勝の最終回を除く、全試合を完投してきたことによる疲れ、特に浦和学院や広陵、仙台育英、聖光学園と次々に横浜に襲い掛かった強豪校たちに対してきたという精神的な蓄積疲労が溜まりに溜まったようだった。この大会終盤で打線好調の大阪桐蔭打線に立ち向かわなければならなかったという境遇。最後はもう跳ね返せなかった。大阪桐蔭は初出場初優勝以来、実に17年ぶりの決勝進出。大阪勢自体も17年ぶりの決勝進出ということらしい。この試合で投手力に自信をつけた大阪桐蔭、となったことで、投手力が万全でない常葉菊川を相当上回っているように見えるが、どうなのだろう。どちらにも戦いぶりに抜群のセンスを感じるのだが、綺麗過ぎる大阪桐蔭よりも、やや無骨な常葉菊川に魅力を感じてしまう。こうなりゃ常葉菊川に頑張ってもらおう。



~横浜、10年間お疲れ様でした~

 試合後の監督インタビューで、興奮気味に話してきた監督さんに最後、取材者が虚を衝いたように「次は横浜ですが」と言った時に、(それはわかっていますという場合と、そうだった、と忘れていた場合がある)監督さんが何とも嬉しいのか悲しいのかわからない顔をして「胸を借りて戦います」と応えるところが好きだ。甲子園で勝ち上がって強いところと戦うのが全国の監督さんの理想なら、この10年間は横浜と戦うというのが勝っても負けてもステイタスではなかっただろうか。その前はPL学園だった。途中は苫小牧だったかもしれない。横浜は、今春は初戦で北大津に、夏は準決勝で大阪桐蔭に敗れ、甲子園を去った。この10年間で春夏併せて、計2度の全国制覇。2年に一度の割合で甲子園に夏は確実にやってくるのだが、今度も頂点の見えかけた準決勝での敗戦。横浜でも続けて勝つことは難しいと感じる。それでも、今や大リーガーの松坂以来成し遂げられていない、春夏連覇を達成したチーム、日本代表の成瀬、涌井を輩出したチームとして尊敬を集め続けた。決勝はまだ終わっていないが、次の10年も打倒、横浜!!は続くのか。今夏で渡辺監督が辞任といううわさも若干あるようなので、その去就にも注目が集まるのだが、とりあえずは横浜ありがとう、お疲れ様でしたと言ってあげたい。そして、また新たに強い横浜でい続けてほしいと思う。




★常葉菊川

 準 決勝:9‐4 浦添商   安10二2三0振8四5犠1併0残5失1
  投:戸狩→野島→戸狩 本塁打:前田②
 
 準々決勝:13‐10 智弁和歌山 ⇒3点差 安15二2三0振8四5犠1併1残6失1
  投:野島→戸狩→萩原→浅川→戸狩 本塁打:前田

 3回戦:11‐9 倉敷商 ⇒2点差 安13二2三0振5四0犠2併0残3失5
  投:萩原→野島 本塁打:町田、伊藤

 2回戦:2‐1 福知山成美 ⇒1点差 安3二1三0振6四5犠1併0残4失0
  投:戸狩→野島→戸狩




★大阪桐蔭
 
 準 決勝:9‐4 横 浜    安14二2三2振2四1犠3併2残5失2
  投:福島由 本塁打:萩原②

 準々決勝:7‐4 報徳学園 ⇒3点差 安16二3三0振3四4犠1併1残10失0
  投:福島由→奥村→福島由 本塁打:奥村②、萩原

 3回戦:7‐5 東 邦 ⇒2点差 安14二3三0振4四3犠2併0残10失1
  投:福島由→奥村→福島由

 2回戦:6‐5 金 沢(延長10回) ⇒1点差 安16二3三1振3四4犠3併0残14失0
  投:福島由→奥村→福島由 本塁打:浅村2

 1回戦:16‐2 日田林工    安19二5三3振4四7犠4併0残10失1
  投:福島由→奥村→永島→奥村 本塁打:奥村

第90回全国高校野球記念大会:準決勝の見どころ

<準決勝>

第一試合:常葉菊川 ‐ 浦添商

第二試合:大阪桐蔭 ‐ 横 浜



 常葉菊川対大阪桐蔭、常葉菊川対横浜、浦添商対大阪桐蔭、浦添商対横浜の4パターンのうち、どの決勝戦を観たいかと聞かれれば、迷わず常葉菊川対横浜と答えるだろうか。大阪桐蔭はお隣の北大阪代表。強力打線が売り物であるが、投手力に問題が出てきている。バテ気味のエース福島由に不安が残り、たとえ横浜に勝ったとしても、決勝ではもはや苦しいのではないかと思われる。そういう点では常葉菊川も同じで、エース戸狩は左ひじ痛でもはや速球が投げられる状態ではない。今日の試合もほとんどサイドスローで、球速は120キロ程度であった。野島などとうまく継投してなんとか終盤へと持ち込んでいくスタイルで勝つしか方法がないと見られるが、打線の方は上り調子で、爆発力が凄まじいため、決勝では打撃戦では持ちこたえることができるのではないか。浦添商もエース伊波は、準々決勝で温存気味ではあるが、常葉菊川打線に捕まる可能性が高い。上地時、島根と継投すれば、勝機が見えてくるかもしれないが、たぶん伊波と心中のつもりでやってくると思われる。そうなれば常葉菊川の思うつぼになってしまうのではないか。たとえ勝っても決勝に余力を残すのは難しいだろう。4校のうち横浜の左腕エース土屋だけが、疲れを感じさせない投球のように見える。最もハードなゾーンを戦ってきたと言える横浜。1、2回戦の頃と比べ、余裕が見られ、成長、進化が感じられるという点で決勝に残っても戦えるとみた。優勝候補はずばり横浜。ならば対抗は常葉菊川とさせていただきたい。わが京都代表・福知山成美を破ったからというのもあるのだが、左腕・土屋に対して常葉菊川打線がどう挑むのかというのを見せてもらいたい。ということで、決勝は常葉菊川対横浜というのでどうだろうか。少し語弊があるかもしれないが、優勝はなくとも、あの松坂から10年間、高校野球の王座を守り続けたと言っても過言ではない横浜に対して、旋風のごとく、現れたのはどんな場面でもフルスイングの新鋭・常葉菊川。90回記念大会にふさわしい決勝になるような気がしてならない。なんだか決勝の見どころを書く勢いではあるが、浦添商対大阪桐蔭というのがピンと来ないのがその理由だ。浦添商は長打力、大阪桐蔭は残塁数が気になる。確かに浦添商なら伊波や漢那に、大阪桐蔭なら浅村、萩原に期待するものはあるのだが。常葉菊川の伊藤や前田の豪快さ、横浜の筒香や大石の素材に、並々ならぬ期待をかけてしまうのが本能というべきか。とにかく直接対決で何らかの決着をつけてほしいのだ。




★常葉菊川
 
 準々決勝:13‐10 智弁和歌山 ⇒3点差 安15二2三0振8四5犠1併1残6失1
  投:野島→戸狩→萩原→浅川→戸狩 本塁打:前田

 3回戦:11‐9 倉敷商 ⇒2点差 安13二2三0振5四0犠2併0残3失5
  投:萩原→野島 本塁打:町田、伊藤

 2回戦:2‐1 福知山成美 ⇒1点差 安3二1三0振6四5犠1併0残4失0
  投:戸狩→野島→戸狩


★浦添商

 準々決勝:4‐3 慶 応(延長10回) ⇒1点差 安8二1三1振6四3犠5併0残7失1
  投:上地時→島根→伊波  

 3回戦:3‐1 関東一 ⇒2点差 安9二1三0振1四2犠4併0残7失1
  投:伊波 

 2回戦:12‐9 千葉経大付 ⇒3点差 安13二5三1振5四4犠5併0残6失2
  投:伊波

 1回戦:7‐0 飯 塚   安11二0三3振6四5犠3併0残8失0
  投:伊波


★大阪桐蔭

 準々決勝:7‐4 報徳学園 ⇒3点差 安16二3三0振3四4犠1併1残10失0
  投:福島由→奥村→福島由 本塁打:奥村、萩原

 3回戦:7‐5 東 邦 ⇒2点差 安14二3三0振4四3犠2併0残10失1
  投:福島由→奥村→福島由

 2回戦:6‐5 金 沢(延長10回) ⇒1点差 安16二3三1振3四4犠3併0残14失0
  投:福島由→奥村→福島由 本塁打:浅村2

 1回戦:16‐2 日田林工    安19二5三3振4四7犠4併0残10失1
  投:福島由→奥村→永島→奥村 本塁打:奥村


★横 浜
  
 準々決勝:15‐1 聖光学院     安18二5三0振4四6犠4併0残6失0
  投:土屋→田山 本塁打:筒香2

 3回戦:3‐2 仙台育英 ⇒1点差 安9二0三0振4四7犠4併0残12失0
  投:土屋
 
 2回戦:7‐4 広 陵 ⇒3点差 安9二2三2振5四6犠1併0残9失2
  投:土屋 

 1回戦:6‐5 浦和学院 ⇒1点差 安9二3三0振2四3犠3併1残6失1
  投:土屋 本塁打:筒香

第90回全国高校野球記念大会:福知山成美、初戦敗退<2回戦:対常葉菊川戦>

福知山成美

08年08月09日(土)

2回戦:大会8日目第1試合 対常葉菊川戦



<京都府予選の成績>

チーム打率.4432位/55校) 6試合167打数74安打52打点 
二塁打14 三塁打 4 本塁打 2(植田、門林) 三振12 
四死球30 犠打 16 盗 塁 4(高久2、生駒1、門林1) 失策6


▼2回戦

8:31~10:31(2:00)

常葉菊川

000 001 110 H3 E0

000 000 020=2

000 000 100=1


201 031 200 H9 E1

福知山成美

(常)戸狩、野島、戸狩‐栩木
(福)植田‐福本


▽二塁打:前田(常)

▽盗塁:戸狩、松本、伊藤(常)高久、門林(福)
▽失策:福本(福)


<実際のスターティングメンバー> 

★9安打1打点 残塁11 盗塁2(高久、門林)

1番 二塁手 生駒 右左 3年   4‐   四球1      三振1
2番 投 手 植田 左左 3年   5‐ 
3番 三塁手 深瀬 右右 2年   5‐                        併殺1
4番 中堅手 高久 右左 3年   4‐           三振2
5番 捕 手 福本 右右 2年   3‐0   四球1
6番 右翼手 椎葉 右右 3年   2‐0   四球1            犠打1
7番 左翼手 門林 右左 3年   4‐0             三振1
    投 手  近藤 右右 3年    0‐0 
8番 遊撃手 杉本 右右 2年   1‐0   四球1 死球1 三振1
    遊撃手 中谷 右右 3年     0‐0
    代 打 松村 右右 3年     1‐0               三振1
   ⇒遊撃手 
9番 一塁手 岡上 右右 2年   2‐1 
    代 打 末吉 右右 2年     1‐0
    一塁手 中原 左左 3年     0‐0
    代 打 古賀 右左 2年     1‐0 
    一塁手 田中 右左 3年     0‐0 



  植 田 回8 打30 安3 三振5 四死球4 失点2 自責点0 球数 123
  近 藤 回1 打 3 安0 三振1 四死球1 失点0 自責点0  球数  10  


<控え選手>

投 手 長 岡 右右 2年 
投 手 四 方 右右 3年 


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 予想スターティングメンバーも、予想スコアも外れてしまい、何と言ったらよいか。それでもせめて勝ちさえしていれば、それについて反省の意を表明することもできたのに、負けてしまっては・・・。後悔の念が残る。とにかく、先制点がもう少し早くほしかった。悔しいプレーで逆転を許してしまったが、冷静になれば、ああならなくても打たれて逆転を許していた可能性は大いにあった。一死三塁ならスクイズや犠牲フライ、内野ゴロの間に勝ち越されていたかもしれない。さすがに3巡目の常葉打線には打たれたかもしれない。なぜ負けたのかと言われると、やはり攻撃面で下位打線に当たりがなかったこと、戸狩に横から投げられてタイミングが狂ったこと、右の野島を攻め切れなかったこと、また戸狩が登板してきたこと、長打がなかったこと、積極な走塁ができなかったことなどが挙げられる。勝っていれば気づくことがなかったチームの弱点というものが、負けて浮き彫りになった気もする。打てるチームが陥りやすいチームになっていたということは、甲子園に来て常葉菊川と対戦するまでは気がつかなかった。まさにチームの弱点が露出した試合でもあった。打線は水ものとよく言うが、決してそのように湿っていたわけでもない。しかし、現に点が入らなかった。送りバントをしてもよかった場面もあった。スクイズをしてもよかった場面もあった。だが、まさか点が取れない展開になろうとは思いもしない。実際、テレビで観戦していて、点が入りそうで入らない展開を観ていても、今度こそどこかで大量点が入り、常葉菊川を圧倒すると信じて疑わなかったから。それが9回になってもまだよくわからなかった感じだ。画面を観ながら、勝ち方を想像していた。ここで1番の生駒が出塁して、2番の植田に長打が出て、3番深瀬、4番高久のどちらか、もしくは福本、椎葉のどちらかに2点タイムリーが出て、終わってみれば3対2で逆転サヨナラ勝ち。危うくも3回戦進出。と信じて疑わなかった。しかし、そのことがこのチームの最大の弱点であったのだと知ることになる。実際に1番から4番までが2安打ずつ。京都予選なら、このことで5番からの下位打線に甘いボールを相手が投げてしまって、大量得点となっていたところも、決して打たれなかった常葉の投手陣は、さすがの投手力であった。杉本への死球も普通なら2‐1のカウントからあんなに厳しく(コントロールはなかったが)内に攻めてくることも今までになかったかもしれない。当然避けられなくても仕方がない。杉本の死球退場でチームは動揺。やはり正遊撃手を失ったことはチームにとって痛かったとしか言いようがない。

 福知山成美は、今春の近畿大会を制して、近畿ナンバーワンとなった。しかし、僕の中ではこの夏の選手権でその力を発揮できるとは思っていなかった。春に結果を出したチームが、夏に優勝することは近年になかったこと。それを信じて疑っていなかった。また、近藤と植田の両投手を抱えていることで、どちらかの調子が上がらないことで、敗退するような気もしていた。実際に近藤がアクシデントで投げられないとなったところで、厳しい気がしないでもなかったのだが、長岡という2年生投手が急成長。これで余裕ができたかなと思う。それで準決勝の京都外大西戦である。なんだかんだいっても、6年連続のベスト4に進んだ京都外大西。準々決勝の京都国際戦での5併殺。投手は5人。6年で4回目の甲子園が見えてきたことで、戦前は京都外大西有利と見ていたのであるが、始まってみれば初回に7得点を挙げるという猛攻。終わってみれば10点差をつけて5回コールドの圧勝だった。この打撃力を見て、福知山成美の優勝をほぼ確信したのである。低めの球に強いこと、選球眼の良さ。右打者にも当たりが出ていた。決勝の立宇治戦はやはり、中野翔が疲れ果てていたので、同じように得点して、難なく京都大会優勝を果たした。5年前から高校野球を観ているが、こんなに爽快感を感じたチームは初めてだった。3年前に京都外大西の本田投手が平安打線に対しているときに、各打者が振り遅れているのを観て、全国でも通用すると感じたときに近い。ただ、確信は持てなかった。打線が湿っていた。確かチーム打率はワースト2位ぐらいだった。それでも結局、甲子園の2回戦で関西に6点差を逆転勝ちすることにより、チームに勢いが出て決勝まで進んだ。その苫小牧戦でもボテボテのタイムリーを打たれ、最後は田中に抑えられてしまったが、大会前にぼんやりと浮かべていた優勝の二文字は、最後は信じられなかったが準優勝というところまできた。3年経って今回、福知山成美には優勝の二文字がはっきりと浮かんでいた。投手は3人(左1人)。いずれも通用するだろうという気がした。打線は超がつくほど素晴らしい。55校中2位のチーム打率。右も左も恐くない気もしていた。しかし、初戦で左腕・戸狩が打てなかった。四球で自滅するタイプだと思いきや、思うようなところで四球を出してくれなかったし、時折ややサイドから投げたりして打ち気を逸らされてしまった。右投手の救援は予想外だった。何が何でも戸狩が完投すると思っていた。最も自信のあった打線がつながらなかった。3連打が出なかった。これが甲子園。これが全国大会であった。この5年間初戦敗退は一度もなかったのに、まさかこのチームが、という感想だ。2年前の愛工大名電戦でも、戦前は全国的に成美が勝つとは思われていなかったであろう。それが功を奏していたのか、勝たしてもらった。今回は勝ってもおかしくない戦いだっただけに、甲子園の魔物の餌食になってしまったとしか言いようがない。しかし、全国の人はこのチームのことを決して忘れないだろう。常葉菊川にあんなプレーをさせたということはそれだけ切羽詰っていたということだから。しかし、言わせてもらうなら、あれが菊川の監督の言う「ひまわりのようなプレー」(戦前のコメント)なのか「野球の素晴らしさ」(戦後のコメント)なのか、僕にはわからない。あまりの悔しさで呆然とした。あんな形での初戦敗退はあまりに残念でならない。このチームは全国でその力を如何なく発揮してもらいたいと思える、その必要のある、ここ数年で最も強さを感じさせられたチームだったからだ。生駒、植田、高久の左打者3人が同一チームというチームも再び作るのはなかなか難しい。だが、負けてはこうも言い切れないのがとても悲しいし、とてもつらい。成美をはじめ、強豪と信じている京都のレベルはまだまだと言わざるをえなくなってしまう。本当に残念な90回記念大会の夏だった。来夏、この借りを返してほしいところだ。
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