~2つの奇跡~
決勝を迎え、信じられないことが2つもある。一つは立宇治・中野翔の快刀乱麻のピッチング。もう一つは福知山成美打線の驚異的なバッティングだ。
立宇治・中野翔投手は背番号4番の、普段はセカンドを守る選手だった。だが、大会直前にエース吉田の故障がきっかけで、打撃練習で投げているのを見た卯瀧監督が「制球力がいい」と投手に大抜擢。公式戦登板は中学2年以来という。それにもかかわらず、4回戦、準々決勝を連続完封。4試合30イニングで2失点の抜群の投球を見せた。決め球のスライダーは6月からの練習で修得とのこと。速球は他の投手と比べても一番速いということらしい。昨日は龍谷大平安戦ということもあり、警戒心から制球に苦しんだものの、終わってみれば被安打7、失点4で完投勝利を挙げた。今や絶対的なエースとなった中野翔が、明日の決勝の先発マウンドに立つのはほぼ間違いないだろう。あのテンポで投げられると打者は考える暇がなくなり、打ちづらい。しかも、元来の投手としての思考がないということで、いい意味でのそのプライドの無さが功を奏しているようにも見える。どう言えばいいか、打たれる恐さを知らない、無鉄砲なピッチングが光る。ピッチャーじゃないところが特徴といえようか。急造の利点がある気がしてならないところが脅威だ。
まさか外大西投手陣がコテンパンに打ち込まれるとは思いもしない。京都外大西は、登録5人の投手の内4人を継ぎ込み、必死に福知山成美打線を抑えようと試みたが、出てくる投手陣が次々と打ち込まれ、5回で10点差をつけられコールドで敗退した。こうなることは全く予想できず。まず、初回に7番門林が満塁本塁打を放ち、打者13人で7得点を挙げた。内角低めの、普通なら打てっこない、絶妙なストレートを軽々とライトスタンドに運ばれたときの外大西の動揺は計り知れない。完全に戦意を失わせる攻撃力だった。打線は1番から4番まで全く気が抜けない。中でも2番植田は、この試合4打数4安打4打点。センター前ならいつでも打てるといわんばかりの、力強くて綺麗な放物線が次々と描かれていった。田所監督に言わせると、植田は監督生活12年間で、打撃力で一番の選手だそうだ。一体どこに投げれば抑えられるのだろう。これまでの5試合で1番生駒が12安打、2番植田は11安打。明日も爆発するようなら大会個人記録を塗り替えるのではなかろうか。またはこれまでのチーム最多安打(現在65安打)や最高打率(現在.471)も更新される可能性がある。
~勝負の分かれ目~
立宇治はまさかのランニングを含む2本塁打。7回には6連打の怒涛の攻撃で逆転。前半わずか3安打と苦しんだ左腕・安田と、不調とはいえエース・川口を粉砕したことは、福知山成美の左腕・植田攻略のヒントとなるにちがいない。植田は制球難。エース近藤や長岡の右投手が先発したとしても元々が左打線なので、苦にしない可能性もある。序盤の打撃に確実性のある成美打線をどう抑えるか。もうそれに尽きる。すなわち、中野翔の立ち上がりがどうなるかが最大のポイントだ。一体2番植田をどうやって抑えるか。とりあえずストレートで簡単にストライクを投げるのは禁物で、田辺・田中が植田を抑えたときはカーブを決め球にしていたようなので、緩急しかないのかなという気がしている。北稜・山脇は全く通用しなかった。早打ちの傾向が強いが、中速球は簡単に打ち返されてしまう。卯瀧監督がどう指示していくのかが最大の鍵を握る。もちろん、投げるのは中野翔なのだが。朝日新聞の座談会では「植田くんはかなわん」と最大級の賛辞を送っているだけに、対戦を想定していないはずがない。そのうえに1番生駒、3番深瀬、4番高久も抑えないと大量失点してしまう危険性大である。外大西は1年生の左腕・中村を先発させてほしかったのだが、まさかここで立宇治の先発に、1年生の右腕・服部を持って来るということは考えられないだろうか。ないとは思いつつも、絶対にないといえない気もしてくるから不思議だ。研究されていない方を持ってくるのもありだと思わないでもない。それぐらいの意表を衝くぐらいでなければ、勢いというよりも格段の破壊力のある打線をはぐらかすことはできないだろう。どこかで起用する作戦はないか。さて、26年ぶり3度目の立宇治か、それとも2年ぶり3度目の福知山成美か。しかし、成美の打線は90年の歴史の中でも史上最強ではなかろうか。京都の野球も変わったと感じる迫力の打撃である。
決勝を迎え、信じられないことが2つもある。一つは立宇治・中野翔の快刀乱麻のピッチング。もう一つは福知山成美打線の驚異的なバッティングだ。
立宇治・中野翔投手は背番号4番の、普段はセカンドを守る選手だった。だが、大会直前にエース吉田の故障がきっかけで、打撃練習で投げているのを見た卯瀧監督が「制球力がいい」と投手に大抜擢。公式戦登板は中学2年以来という。それにもかかわらず、4回戦、準々決勝を連続完封。4試合30イニングで2失点の抜群の投球を見せた。決め球のスライダーは6月からの練習で修得とのこと。速球は他の投手と比べても一番速いということらしい。昨日は龍谷大平安戦ということもあり、警戒心から制球に苦しんだものの、終わってみれば被安打7、失点4で完投勝利を挙げた。今や絶対的なエースとなった中野翔が、明日の決勝の先発マウンドに立つのはほぼ間違いないだろう。あのテンポで投げられると打者は考える暇がなくなり、打ちづらい。しかも、元来の投手としての思考がないということで、いい意味でのそのプライドの無さが功を奏しているようにも見える。どう言えばいいか、打たれる恐さを知らない、無鉄砲なピッチングが光る。ピッチャーじゃないところが特徴といえようか。急造の利点がある気がしてならないところが脅威だ。
まさか外大西投手陣がコテンパンに打ち込まれるとは思いもしない。京都外大西は、登録5人の投手の内4人を継ぎ込み、必死に福知山成美打線を抑えようと試みたが、出てくる投手陣が次々と打ち込まれ、5回で10点差をつけられコールドで敗退した。こうなることは全く予想できず。まず、初回に7番門林が満塁本塁打を放ち、打者13人で7得点を挙げた。内角低めの、普通なら打てっこない、絶妙なストレートを軽々とライトスタンドに運ばれたときの外大西の動揺は計り知れない。完全に戦意を失わせる攻撃力だった。打線は1番から4番まで全く気が抜けない。中でも2番植田は、この試合4打数4安打4打点。センター前ならいつでも打てるといわんばかりの、力強くて綺麗な放物線が次々と描かれていった。田所監督に言わせると、植田は監督生活12年間で、打撃力で一番の選手だそうだ。一体どこに投げれば抑えられるのだろう。これまでの5試合で1番生駒が12安打、2番植田は11安打。明日も爆発するようなら大会個人記録を塗り替えるのではなかろうか。またはこれまでのチーム最多安打(現在65安打)や最高打率(現在.471)も更新される可能性がある。
~勝負の分かれ目~
立宇治はまさかのランニングを含む2本塁打。7回には6連打の怒涛の攻撃で逆転。前半わずか3安打と苦しんだ左腕・安田と、不調とはいえエース・川口を粉砕したことは、福知山成美の左腕・植田攻略のヒントとなるにちがいない。植田は制球難。エース近藤や長岡の右投手が先発したとしても元々が左打線なので、苦にしない可能性もある。序盤の打撃に確実性のある成美打線をどう抑えるか。もうそれに尽きる。すなわち、中野翔の立ち上がりがどうなるかが最大のポイントだ。一体2番植田をどうやって抑えるか。とりあえずストレートで簡単にストライクを投げるのは禁物で、田辺・田中が植田を抑えたときはカーブを決め球にしていたようなので、緩急しかないのかなという気がしている。北稜・山脇は全く通用しなかった。早打ちの傾向が強いが、中速球は簡単に打ち返されてしまう。卯瀧監督がどう指示していくのかが最大の鍵を握る。もちろん、投げるのは中野翔なのだが。朝日新聞の座談会では「植田くんはかなわん」と最大級の賛辞を送っているだけに、対戦を想定していないはずがない。そのうえに1番生駒、3番深瀬、4番高久も抑えないと大量失点してしまう危険性大である。外大西は1年生の左腕・中村を先発させてほしかったのだが、まさかここで立宇治の先発に、1年生の右腕・服部を持って来るということは考えられないだろうか。ないとは思いつつも、絶対にないといえない気もしてくるから不思議だ。研究されていない方を持ってくるのもありだと思わないでもない。それぐらいの意表を衝くぐらいでなければ、勢いというよりも格段の破壊力のある打線をはぐらかすことはできないだろう。どこかで起用する作戦はないか。さて、26年ぶり3度目の立宇治か、それとも2年ぶり3度目の福知山成美か。しかし、成美の打線は90年の歴史の中でも史上最強ではなかろうか。京都の野球も変わったと感じる迫力の打撃である。