『唯我独尊』~兵庫スイングスマイリーズ・小西美加投手 vol.2

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―ご自身のブログを拝見しましたが、食事の量が…なかなかですね(笑)。好きな食べ物は?、嫌いな食べ物はありますか?

嫌いな食べ物はないですね。好きなのは…、いくら、ドリア、マンゴー、アボガド、キャベツ、桃、ハンバーグ、豚肉…、どこまで言ったらいいですか?(笑)食べることが幸せです。奪われると泣きます(笑)。


―野球選手なのですから、食事は気にせずたくさん食べてください。

自炊するようになって1年なのですが、運動をたくさんして体重調節できるので気にしていません。食べ物が好きなので太りすぎたと思ったら、運動を多目にします。それよりも、料理をつくることが好きなのですね。


―得意な料理を聞いてみましょう。肉じゃがですか(笑)?

煮物と…、チャーハンは定番すぎるかな(笑)。肉じゃがは作ったことがないです。何でだろ。たまねぎを切ったら泣くからかな?(笑)他に大根煮やひじき、小芋の煮たものはよくつくります。


―休日の過ごし方やリラックスの方法は?

実家に帰ってピアノを弾くことですね。


―へえ~、習ってたのですか?どんな曲を弾きますか?

一切、習っていないのですが、ピアノの先生の資格を持っている母の影響です。中学の頃が一番弾きましたね。合唱コンクールで歌うような曲を弾きます。譜面も読めるし、弾いて歌うのが好きです。カラオケの楽しさとはまた違って、真剣にお腹から声を出すのが楽しいです。


―健康面で注意していることは?体のケアとして、マッサージや整体には行きますか?

前にトレーナー、インストラクターをしていたので自分のことは全部わかってしまいます。なので、自分に何かが起きても原因も治療法もわかります。トレーナー知識があるし、柔軟や筋力ともにわかるので、マッサージや整体には一切行かないですね。スポーツクラブで勉強していたので、自分が自分のトレーナーです。背中が痛いことはありますが、大したことはないですし、今のところ体のケアについては問題ありません。


―お兄さんは北嵯峨のご出身でした。年末に戦力外通告を取り上げた番組で、山田秋親投手(立命館大-ソフトバンク-福岡レッドワーブラーズ)が取り上げられていました。ロッテに復帰することになったようです。

山田さんは兄が1年のときの3年で、甲子園に行きました。同じピッチャーだったので、お世話になったみたいです。


―そのとき北嵯峨は卯瀧監督(現立命館宇治)ですよね?

はい。兄が1年のときはそうでしたが、2年のときに鳥羽に行かれました。鳥羽は兄が3年のときにもう強くなってきてました(笑)。


―知らなかったのですが、お兄さんの正則さんはクラブチームの東海REXで日本代表に選ばれています。プロの宮西(関学大―日ハム)、大場(東洋大―ソフトバンク)、野本(駒沢大―日本通運―中日)や長野(日大―ホンダ―巨人)と第16回IBAFインターコンチネンタルカップ(2006年)で一緒だったのですね?

兄は「松坂世代」で、夏の京都大会では北嵯峨か、春の近畿大会で優勝した平安が優勝候補で、甲子園に出るだろうと言われていました。でも、準々決勝で互いにぶつかり、延長10回で3-2で勝ったものの、翌日の準決勝の京都成章戦では、兄は途中から登板しました。それで序盤に取られた点に追いつくことができず、古岡(中央大―ヤマハ)さんの緩い球に翻弄されて1-7で負けました。とても残念だったのを覚えています。京都成章は勝ち上がって甲子園の決勝で横浜に負けて全国準優勝でしたしね。意外でした。


※1998年7月28日に行われた第3試合(準々決勝:北嵯峨対平安)は、予定より3時間半遅れの17時31分プレーボール。


【1998(平成10)年第80回大会 北嵯峨の戦績】

1回戦:北嵯峨4-0久御山 ※久御山の先発は、橋本健太郎投手(東北福祉大―日本新薬―阪神―ロッテ)。 2回戦:北嵯峨9-0京都学園 3回戦:北嵯峨6-0北桑田 4回戦:北嵯峨9-0加悦谷 準々決勝:北嵯峨3-2平安 準決勝:北嵯峨1-7京都成章(第2試合)

準決勝:鳥羽4-3峰山(第1試合)
決 勝:京都成章(3年ぶり2回目)7-0鳥羽


―お兄さんは今日本新薬で活躍されている正捕手、堂前篤史さんとバッテリーを組まれていたのですよね?内野手の佐々木龍(日本新薬)さんも同学年ですね?

はい、そうです。


※準々決勝の平安戦で佐々木龍さんは延長10回に右中間へサヨナラタイムリーを放った。


―兄妹がお互いに日本代表ということで、社会人野球雑誌の「グランドスラム」にも取り上げられたようですね。お兄さんの日本代表での試合は観に行きましたか?

私も兄もそのときお互い合宿があって台湾には行っていませんし、自分のときも来てもらえませんでした(笑)。


―プロ野球などで有名な選手と友人だったりしますか?

神内(延岡学園―ソフトバンク、京都府綾部市出身)君や内海さん(敦賀気比-東京ガス-巨人)と一緒に練習したことがあります。あとはもう時効だと思うので言いますが、5年以上前には片岡安祐美(茨城ゴールデンゴールズ)ちゃんらと毎年冬に自主トレをしていました。3つ年下で姉妹みたいな仲になって、彼女が「お姉ちゃん」と呼んでくるのです(笑)。


―男子のプロ野球で好きな選手は?

うーん、イチロー選手の生き方は好きですね。ピッチャーとしては、ダルビッシュや岩隈さんですね。手足が長くて、ムチのような腕の振りで、細身のピッチャーが好きです。岩隈さんの縦のカーブが最高です。昔は高津さんと古田さんのバッテリーに憧れました。


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―この取材の前に、テレビで昭和40年会と48年会のバラエティ番組を観ました。古田さんとの共演はどうでしたか?

共演と言っても、憧れの人でもあるので、緊張してあんまり覚えてないです。古田さんには受けてもらい、夢のバッテリーが成立しました。キャッチボールしていただいただけで、感動し、変に力んでしまいました。あの試合は軟式を使ったので、ジョニー黒木さんに「思い切り投げるなよ」と気遣って頂きました。


―軟式だと肩が抜ける感じになるからですか?

そうです。軟式だと肩が抜けた感じになるし、冬なので最近硬式は投げてなかったので。特に軽いボールを右手で投げるとおかしくなるので心配してもらいました。


―古田さんと山本昌(中日)さんに打たれてしまい残念でしたが、対戦はどうでしたか?チームメイトになる厚ヶ瀬さんも村上(近鉄―西武―大阪ゴールドビリケーンズ監督)さんのストレートに空振り三振だったですし。そう言えば、吉本お笑い芸人のブラックマヨネーズともからんでましたね。

すごく楽しかったです。会えてよかったです。山本昌さんも体が大きくて。厚ヶ瀬も私と同じで軟式がやりにくかったのだと思います。ブラマヨさんは…思っていたよりも小さかったかな(笑)。


―他に印象に残ったことはありますか?

山本昌(中日)さんと三浦(横浜)さんと勝負しましたが映ってましたか?プロの二人は古田さんとバッテリーを組んで、中学生のボーイズチームに対戦しました。山本昌さんも三浦さんも打たれてましたが、私は女子の丹波ガールズの選手と対戦してファウルに打ち取りました。一球勝負だったので、結果は私の勝ちだったのですが…。テレビ的には面白くなかったかもしれません。硬式球を投げました。


―それは映っていなかったです(笑)。テレビ的にカットになったのでしょうか?それから、独立リーグの吉田えり(三重スリーアローズ)選手もその番組に出演なさってましたね。小西さんの球を見て、「いい球を投げますね」「負けました」とコメントしていましたよ。僕も球筋はいいし、きれいなフォームで投げるなと思いました。年齢も違うのでこの質問はなんですが、えりちゃんにはどんな印象をお持ちですか?

…えりちゃんと話す時間を与えてもらえなかったので残念です。こっちへ寄ってくる感じはありましたけども話せませんでした。前にえりちゃんがいたクラブチームと対戦したことがあります。その試合はBlessが圧勝しました。当時は全くの女子高生という感じで、今はすごい成長したという印象です。あまり覚えてないですが、あのピッチャーが…という風に思いました。


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―これからいよいよ女子プロ野球選手になられます。トライアウトを受けようと思ったきっかけを教えてください。

野球が思い切りできるからですね。


―「野球は自分を表現できる」と発言なさっていますね。野球じゃないとダメなのですか?ソフトボールとの違いは?

ソフトボールもやっていましたが、距離が短くて狭いのです。だから、魅せるプレーが限られている気がします。ソフトでは実際、サードを守りました。でも、一瞬のプレーなので面白みに欠けます。完ぺき主義だし、ミスしたら負けます。それに比べて、野球はユーモアがあります。いくつミスをしても取り返せる。技術が一つではないし、可能性が無限大な気がします。ソフトは守備で言えば、打球の反応も届くか届かないかだけですが、野球は一歩目、二歩目というのがあります。


―なるほど。僕は近所のソフトチームでサードを守ったことがあるのですが、ただ打球が怖くて。一歩目も何も、ただ打球が飛んできたら、飛びつくようなノリでしたね(苦笑)。ところで、京都、兵庫の両チームが指名しました。なので、自分でチームを決めるくじを引くことになりましたね。僕は30人で京都出身は小西さんだけなので、ぜひとも京都を引いてほしかったです。

…京都出身なので貢献したかったですけれども、敵になってしまいました(苦笑)。チーム最年長なので引っ張っていきたいです。


―今まで野球を続けてきてどうでしたか?

いつも全日本に入れるという確約もないので、ずっとチャレンジャーの精神でやっていました。いつ落とされるかわからないので必死でした。メンバーに入って世界と戦いたかったです。


―男性とプレーすることも多かったと思いますが、どうでしたか?

相手が女子だからといって、手加減されるのが嫌でした。それで助かるところもあるわけですが、手を抜かないといけない男子がかわいそうとも思います。更衣室はいつでもどこでもありませんね。


―仕事やアルバイトとの両立はどうでしたか?

とにかく何をやっても自分にプラスになると思ってやっていました。短大卒業後は体育の家庭教師をやったり、スポーツクラブやレストランの掛け持ちでした。


―少年野球の時も、周りにほとんど女性はいなかった環境でしょう?

自分が初めてでしたし、女子の先輩もいませんでした。少年野球は親とチームの大反対を押し切り、無理矢理お願いしました。その頃に同い年で野球をやっている人は2人ぐらいしか見たことがなかったです。


―好きなお笑い芸人やアーティストはいますか?

この人は面白いと思う人が3人います。明石家さんまさん、島田紳助さん、あと高田純次さんですね(笑)。歌手では、コブクロ、Superfly、絢香、倖田來未などが好きですね。

※今春の第82回選抜高校野球大会開会式の入場行進曲は、女性歌手、Superflyの「MY Best Of My Life」に決まった。


―趣味は?

ドライブです。山とか海に…。今は時間がないですけど、車の運転は大好きです。



つづく