■大阪桐蔭が17年ぶり2度目の優勝 福島由、松坂以来10年ぶりの決勝完封
常葉菊川、投手陣力尽きる 強力打線が散発5安打
~決勝を振り返る~
全6試合連続の2桁安打、歴代2位の大会99安打、決勝史上最多タイの17得点。個人記録は割愛させていただくが、まあ、何とよく打ったチームだろうか。一方で犠打や四球も多かったみたいだ。つなぐ野球、全員野球。大阪桐蔭の優勝は予想だにしなかった。「大阪は打つけど、投手力がイマイチ」が毎年のように繰り返されていたように思うからだ。「野球が荒っぽい、守備がまずい」がしかし、それは今年に限っては誤りだった。正直ここまでとは、終わってみて、初めて信用できた、強すぎる大阪桐蔭だった。中でも福島由のピッチングは素晴らしかった。一番信用していなかった投手力だったわけだが、最後の2試合はどうだろう。相手は横浜と常葉菊川。なんと決勝では完封。甲子園で完封できる投手には思えなかったが、(というよりも大阪の投手力そのものを信用していない)大した投球を見せてくれた。打線はもう何も言うことがない。打順に関係なくどこからでもチャンスを作り、本塁に還していた。大阪桐蔭が優勝するのは当たり前だと準決勝、決勝を見て思った。なんという失態!大阪代表に対するコンプレックスだろうか。どんなにうまくいっていても、絶対どこかでミスするのが大阪という決め付けが心にいつもあるのだろう。優勝候補に挙げられた時ほど、確実にどこかで気が緩むのか敗退し続けてきた印象だった。本当に失礼極まりないのでここで謝罪させていただきたい。NHKで深夜に決勝が再放送された。こんなことが17年前にもあったのか覚えていない。高二の夏だった。あのときも打線が凄かった。投手も二人いた。プロ野球に進んだ選手も何人かいた。その超大型のチームでも成し遂げられなかった過去90年の記録を次々と破ったという点でも、特筆に価するチームだったと思う。考えてみれば、去年、中田という超ビッグな選手に埋もれて目立たなかった選手たちが、この夏ついに借りを返したという図式だった。その辺を見逃してはいけない。
常葉菊川はついに打線がつながらなかった。最低でも5点~7点は取るだろうと考えていたが、右投手を打ち崩せなかったのは残念だった。左投手はボコボコにしてきたのが、準決勝の3回以降を浦添商・伊波に7回を抑えられてから、決勝の大阪桐蔭・福島由の9回と計16イニング連続無得点と、案外、右投手に弱かったようだ。まあ、どちらも好投手なので仕方ないのだが。とにかく期待しすぎていたきらいはある。でも、6回に大阪桐蔭に6点取られるまでは、何だか逆転するような気がしたのだから凄い。戸狩が初回に満塁本塁打を打たれても、これで面白くなったぐらいに思っていたのだから。それにしても、戸狩はもう限界を超えていて、見ていてつらかった。最終回に再びマウンドに上がって、1球だけ本気で真上から投げたのだが、もう再びひじは上がらなかった。129キロだったらしい。さすがに大阪桐蔭には抵抗するには無理があった。それでもよく決勝まで来れたものだ。打線の援護なくしてはそれも実現不可能だっただけに、投手としての本来の実力が出せなかったというのに、非常に運の強い投手だと思う。福知山成美戦での三盗は忘れられない。投手でありながら、こういうプレーをしてくる選手は本当に嫌だ。二度と対戦したくないと思わせるプレーヤーの一人だ。大体2番伊藤のあのフルスイングは何なのだろう。あれだけ振られると3度目の対戦の時は、もうやられるかもしれないと投手は思ってしまう。攻撃は最大の防御なり。そういう印象を強く残した常葉菊川であった。福知山成美の植田君は、この打線をよく抑えたなあと今さらながらに思う。初戦でよかった、のかなあ。智弁和歌山の岡田君や倉敷商の木本君が打たれたのは観ていてショックだったのが思い出深い。最後の決勝では打てなかったが、3試合連続の超ビッグイニング打線は痛烈な印象を残した。また、成美の話になるが、成美が決勝に残れたかというとそうではないだろう。あそこまで調子に乗れない、が似通ったチームだったとは思う。あのポーズは何だろう。立宇治のあの選手もやっていたあのポーズ。これも非常に印象深かった。4季連続出場。昨春優勝、昨夏4強。監督は変わっても(部長が監督になっただけだが)、経験している者たちの集団だった。やはりどうしても成美が負けた時のことを思い出す。好走塁と評されるのだろうが、その試合巧者ぶりに腹立たしい思いもするチームであった。が、常葉菊川の試合はやはり気になった。頼むから勝ち上がってくれという思いであった。日程が進むにつれ、応援するようになり、その気持ちももう不思議と治まっていった。さすが常葉菊川と喜んだ日もある。しかし、やっぱりあのプレーに関してだけは忘れられない。ここまで勝ち進み、この準優勝は意味深い。よくやってくれたと素直に感謝したい一方で、色んな意味で忘れられないチームとなった。常葉菊川にどこかでリベンジしたい。あわよくば来夏に・・・。
★大阪桐蔭
決 勝:17‐0 常葉菊川 安21二4三1振3四7犠3併1残10失0
投:福島由 本塁打:奥村③、萩原③
準 決勝:9‐4 横 浜 安14二2三2振2四1犠3併2残5失2
投:福島由 本塁打:萩原②
準々決勝:7‐4 報徳学園 ⇒3点差 安16二3三0振3四4犠1併1残10失0
投:福島由→奥村→福島由 本塁打:奥村②、萩原
3回戦:7‐5 東 邦 ⇒2点差 安14二3三0振4四3犠2併0残10失1
投:福島由→奥村→福島由
2回戦:6‐5 金 沢(延長10回) ⇒1点差 安16二3三1振3四4犠3併0残14失0
投:福島由→奥村→福島由 本塁打:浅村2
1回戦:16‐2 日田林工 安19二5三3振4四7犠4併0残10失1
投:福島由→奥村→永島→奥村 本塁打:奥村
★常葉菊川
決 勝:0‐17 大阪桐蔭 安5二2三0振9四2犠0併0残7失2
投:戸狩→野島→萩原→浅川→戸狩
準 決勝:9‐4 浦添商 安10二2三0振8四5犠1併0残5失1
投:戸狩→野島→戸狩 本塁打:前田②
準々決勝:13‐10 智弁和歌山 ⇒3点差 安15二2三0振8四5犠1併1残6失1
投:野島→戸狩→萩原→浅川→戸狩 本塁打:前田
3回戦:11‐9 倉敷商 ⇒2点差 安13二2三0振5四0犠2併0残3失5
投:萩原→野島 本塁打:町田、伊藤
2回戦:2‐1 福知山成美 ⇒1点差 安3二1三0振6四5犠1併0残4失0
投:戸狩→野島→戸狩
常葉菊川、投手陣力尽きる 強力打線が散発5安打
~決勝を振り返る~
全6試合連続の2桁安打、歴代2位の大会99安打、決勝史上最多タイの17得点。個人記録は割愛させていただくが、まあ、何とよく打ったチームだろうか。一方で犠打や四球も多かったみたいだ。つなぐ野球、全員野球。大阪桐蔭の優勝は予想だにしなかった。「大阪は打つけど、投手力がイマイチ」が毎年のように繰り返されていたように思うからだ。「野球が荒っぽい、守備がまずい」がしかし、それは今年に限っては誤りだった。正直ここまでとは、終わってみて、初めて信用できた、強すぎる大阪桐蔭だった。中でも福島由のピッチングは素晴らしかった。一番信用していなかった投手力だったわけだが、最後の2試合はどうだろう。相手は横浜と常葉菊川。なんと決勝では完封。甲子園で完封できる投手には思えなかったが、(というよりも大阪の投手力そのものを信用していない)大した投球を見せてくれた。打線はもう何も言うことがない。打順に関係なくどこからでもチャンスを作り、本塁に還していた。大阪桐蔭が優勝するのは当たり前だと準決勝、決勝を見て思った。なんという失態!大阪代表に対するコンプレックスだろうか。どんなにうまくいっていても、絶対どこかでミスするのが大阪という決め付けが心にいつもあるのだろう。優勝候補に挙げられた時ほど、確実にどこかで気が緩むのか敗退し続けてきた印象だった。本当に失礼極まりないのでここで謝罪させていただきたい。NHKで深夜に決勝が再放送された。こんなことが17年前にもあったのか覚えていない。高二の夏だった。あのときも打線が凄かった。投手も二人いた。プロ野球に進んだ選手も何人かいた。その超大型のチームでも成し遂げられなかった過去90年の記録を次々と破ったという点でも、特筆に価するチームだったと思う。考えてみれば、去年、中田という超ビッグな選手に埋もれて目立たなかった選手たちが、この夏ついに借りを返したという図式だった。その辺を見逃してはいけない。
常葉菊川はついに打線がつながらなかった。最低でも5点~7点は取るだろうと考えていたが、右投手を打ち崩せなかったのは残念だった。左投手はボコボコにしてきたのが、準決勝の3回以降を浦添商・伊波に7回を抑えられてから、決勝の大阪桐蔭・福島由の9回と計16イニング連続無得点と、案外、右投手に弱かったようだ。まあ、どちらも好投手なので仕方ないのだが。とにかく期待しすぎていたきらいはある。でも、6回に大阪桐蔭に6点取られるまでは、何だか逆転するような気がしたのだから凄い。戸狩が初回に満塁本塁打を打たれても、これで面白くなったぐらいに思っていたのだから。それにしても、戸狩はもう限界を超えていて、見ていてつらかった。最終回に再びマウンドに上がって、1球だけ本気で真上から投げたのだが、もう再びひじは上がらなかった。129キロだったらしい。さすがに大阪桐蔭には抵抗するには無理があった。それでもよく決勝まで来れたものだ。打線の援護なくしてはそれも実現不可能だっただけに、投手としての本来の実力が出せなかったというのに、非常に運の強い投手だと思う。福知山成美戦での三盗は忘れられない。投手でありながら、こういうプレーをしてくる選手は本当に嫌だ。二度と対戦したくないと思わせるプレーヤーの一人だ。大体2番伊藤のあのフルスイングは何なのだろう。あれだけ振られると3度目の対戦の時は、もうやられるかもしれないと投手は思ってしまう。攻撃は最大の防御なり。そういう印象を強く残した常葉菊川であった。福知山成美の植田君は、この打線をよく抑えたなあと今さらながらに思う。初戦でよかった、のかなあ。智弁和歌山の岡田君や倉敷商の木本君が打たれたのは観ていてショックだったのが思い出深い。最後の決勝では打てなかったが、3試合連続の超ビッグイニング打線は痛烈な印象を残した。また、成美の話になるが、成美が決勝に残れたかというとそうではないだろう。あそこまで調子に乗れない、が似通ったチームだったとは思う。あのポーズは何だろう。立宇治のあの選手もやっていたあのポーズ。これも非常に印象深かった。4季連続出場。昨春優勝、昨夏4強。監督は変わっても(部長が監督になっただけだが)、経験している者たちの集団だった。やはりどうしても成美が負けた時のことを思い出す。好走塁と評されるのだろうが、その試合巧者ぶりに腹立たしい思いもするチームであった。が、常葉菊川の試合はやはり気になった。頼むから勝ち上がってくれという思いであった。日程が進むにつれ、応援するようになり、その気持ちももう不思議と治まっていった。さすが常葉菊川と喜んだ日もある。しかし、やっぱりあのプレーに関してだけは忘れられない。ここまで勝ち進み、この準優勝は意味深い。よくやってくれたと素直に感謝したい一方で、色んな意味で忘れられないチームとなった。常葉菊川にどこかでリベンジしたい。あわよくば来夏に・・・。
★大阪桐蔭
決 勝:17‐0 常葉菊川 安21二4三1振3四7犠3併1残10失0
投:福島由 本塁打:奥村③、萩原③
準 決勝:9‐4 横 浜 安14二2三2振2四1犠3併2残5失2
投:福島由 本塁打:萩原②
準々決勝:7‐4 報徳学園 ⇒3点差 安16二3三0振3四4犠1併1残10失0
投:福島由→奥村→福島由 本塁打:奥村②、萩原
3回戦:7‐5 東 邦 ⇒2点差 安14二3三0振4四3犠2併0残10失1
投:福島由→奥村→福島由
2回戦:6‐5 金 沢(延長10回) ⇒1点差 安16二3三1振3四4犠3併0残14失0
投:福島由→奥村→福島由 本塁打:浅村2
1回戦:16‐2 日田林工 安19二5三3振4四7犠4併0残10失1
投:福島由→奥村→永島→奥村 本塁打:奥村
★常葉菊川
決 勝:0‐17 大阪桐蔭 安5二2三0振9四2犠0併0残7失2
投:戸狩→野島→萩原→浅川→戸狩
準 決勝:9‐4 浦添商 安10二2三0振8四5犠1併0残5失1
投:戸狩→野島→戸狩 本塁打:前田②
準々決勝:13‐10 智弁和歌山 ⇒3点差 安15二2三0振8四5犠1併1残6失1
投:野島→戸狩→萩原→浅川→戸狩 本塁打:前田
3回戦:11‐9 倉敷商 ⇒2点差 安13二2三0振5四0犠2併0残3失5
投:萩原→野島 本塁打:町田、伊藤
2回戦:2‐1 福知山成美 ⇒1点差 安3二1三0振6四5犠1併0残4失0
投:戸狩→野島→戸狩