京都アマチュア野球だより

試合結果、選手成績などを写真付きで紹介しています (SINCE 7.06) 著:若林千尋

関西独立リーグ

大阪ゴールドビリケーンズ 5-2 神戸9クルーズ

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神 戸 3回裏二死一、二塁

4番若林が左中間へ2点適時二塁打を放ち先制。(大阪 0-2 神戸
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明石レッドソルジャーズ 3-1 神戸9クルーズ

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明 石 3回表二死二塁

1番横井が中前に先制タイムリーを放つ(明 石 1-0 神 戸)
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大阪ゴールデンビリケーンズ 2-3 神戸9クルーズ

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神戸9クルーズ

5回裏二死一、三塁 3番奥脇が三塁線を破る2点適時打を放つ
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ナックル姫、吉田えり投手に期待!

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なぜかヒーローインタビューを受ける吉田えり投手  0回1/3を無失点(1四球、1奪三振)



 去る3月27日に、京セラドームで行われた関西独立リーグ開幕戦、神戸9クルーズ対大阪ゴールド・ビリケーンズの試合を観てきた。何と言っても注目が集まったのは、日本初の女子プロ野球選手となる吉田えり投手の登板だった。試合に集まった観衆は1万人を超えたという。

 同投手の特徴は、○弱冠17歳の女子高校生(通信制に編入)であること、○身長155センチ、体重52キロしかない体格、○ストレートの速さが110キロに届かない球速の、○プロ野球でも投げる者が珍しいナックルボール(80キロ前後かそれよりも遅い)を横手から投げ込む投手(ピッチャー)であることだろうか。どれをとっても誰もが全く見たことが無い選手といえる。

 これまでにも女子で硬式を握ってプレーした選手はたくさんいる。記憶に新しいのは、米国から留学し明治大でプレーしたジョディ・ハーラー投手、東大の竹本恵投手。最近では現在も茨城ゴールデンゴールズでプレーする片岡安祐美選手(内野手)が有名だ。しかし、それはいずれもアマチュアの話であってプロでは吉田えり投手が初めてだ。

 関西独立リーグをプロ野球(NPB)と同列に扱うわけにはいかないが、選手たちの年俸は一律180万円(プロ野球の場合、育成選手は最低年俸240万、二軍選手は最低440万円、一軍選手は最低1200万円)。賃金が発生している以上、それは給料であることからもうこれはアマチュア野球とはいえない、一種のプロ野球だろう。ノンプロ(社会人野球)とも違う。

 ただ問題なのは、プロである以上プレー(スタイル)か名前(顔)で客を呼ばないと、呼べないといけないところだ。だが、一般的には何も知られていない。高校生や大学生とは違います、とも言い切れないレベルの野球かもしれないというところか。いわゆる有望な選手であれば給料が安定した社会人チームや年俸に上限がないプロ野球や大リーグの世界に進んでしまうのが普通だ。また、それらへの入団や復帰を念頭に置く選手がここでプレーしている。

 それだけに同リーグの選手をよく知っている、名前が言える選手がいるという人は余程の「野球通」であるか、友達か親戚かが入団した人くらいではないだろうか。まだできたばかりのリーグではあるが、四国アイランドリーグや北信越BCリーグを観戦した人もそう多くないはず。だから、この試合に1万人もの観客が集まったというのはただ事でない。

 この日はたくさんの芸能人やアナウンサーなどの有名人を見た。橋本大阪府知事と元ボクサーで俳優の赤井秀和さんが始球式に登場。5回には高校野球バラードソングで知られるシンガーソングライター、西浦達雄さんも熱唱した。たぶん、どこかに元プロテニス選手でコメンテーターの松岡修造さんもいたはずだ。この試合の大半は、吉田えり投手のデビューに関する話題で持ちきりだったといえる。

 9回に登板した吉田えり投手の実際の投球を見て感じたのは、これで大丈夫だろうかということだった。人気先行で実力不足。ランナーを出せば、盗塁が心配だし、あの球速では残念ながら無死か満塁でしか登板できないだろう。ピッチャーライナーが飛んだらどうなるのだろうか。観客席の階段を降りてネット際に群がる人たちの無数のフラッシュ。マスコミの過熱報道ぶり。三振を奪われた打者も高めのストレートに手を出した。本当だろうか。それも否めないのだろうか。色んな意味で初めてのことだったから通用するかどうかの確信が持てないでいた。

 あとから吉田えり投手に関する番組を見た。専門家でないのでわからない部分も多い。でも、遅い球が案外打ちにくいことはソフトボールをしたことがある者はわかる。打者は打てるときもあれば打てないときもある。野球はそういうスポーツなのだから、1イニング限定やワンポイントで登板すれば通用するかもしれないと考え直した。ナックルはコントロールが難しくストライクが入りにくい球だということも知った。それをずっと投げ続ける姿を見たい気もしてきた。

 実際今のところ関西独立リーグ全体を見回してもプロと呼んでいいのは彼女だけで、知っている選手はいるのはいるが、まだ他の大勢の選手の名前は覚えられていないし、知っている選手はその力量が大体わかるので「プロ」という響きにややもすると違和感が感じられるのだった。

 その点、抑えても打たれても関係がない、出てくるだけで球場が沸くという何かを超越している存在感だったのは吉田えり投手だけだった。この場合だけ実力はそう関係なかった。結果はストレートの四球と空振り三振の二人に対しただけだったが、彼女の投球を見ているだけですごく新鮮で楽しかった。魅了されたと言ってもいい。全員が女子ならばそんな風にも思わなかっただろう。できれば打たれるまで投げさせてほしかった。だが、その日は打たれてはいけなかったのでもあろう。

 今後の吉田えり投手に期待すること。時間が経てばこの人気もやがて落ち着くだろう。飽きられないようにするには、ナックルの精度を上げること。課題は他にもたくさんあるだろうが、ナックルを見たい。大事なところで現れて、打ち取られた選手が首を傾げて苦笑したり悔しがる姿を見たい。

 試合の終盤、たとえ客寄せパンダであれピエロであれ、出てこないわけにははじまらない、このままでは帰れないという観客の雰囲気が歓声となって伝わってきて面白かった。出てきてほしいと祈らざるをえなかった。監督ももう引っ込めておくわけにはいかなかった。階段を駆け降りる観客が起こした地響き。マウンドで投球する彼女の立ち居振る舞い。それはまさしく歴史的一瞬だった。彼女は絵になった。17歳の女の子が投げるシーンに一喜一憂した。写真もたくさん撮った。驚いたことに、彼女が去れば観客の中に立ち上がる者がたくさんいたこと。それはプロの証でもあった。

 関係者、スタッフに望むこと。できれば彼女をリリーフカーに乗せてほしい。他の球場ではいつかぜひ実現してもらいたいと思う。

17歳・ナックル姫、大阪に初見参!  関西独立リーグが開幕

■神戸9クルーズ・吉田えり投手、開幕戦デビュー  9回ワンポイント、ストレートで初奪三振

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9回のマウンドに向かう吉田えり投手

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魔球・ナックルを投げ込む吉田えり投手

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内角高めのストレートで初三振を奪った吉田えり投手

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残念ながらワンポイントの登板で投手交代を告げられた吉田えり投手と内野手たち

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8回無失点に抑えた、先発の西川投手(※1)とツーショットの吉田えり投手


※1 西川徹哉(にしかわてつや)…鳥羽高校―高知ファイティングドックス、2008四国九州ILで17勝最多勝。神戸でもエースの活躍期待。背番号1。




リンク:神戸ベースボール倶楽部・神戸9クルーズ  >>>5対0で神戸9クルーズ完封勝利!(3/27開幕戦)

リンク:吉田えりオフィシャルブログ ナックル姫
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